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2008年8月28日 (木)

論証の覚え方

以前からリクエストのあった論証の覚え方について書きます。
このやり方を実践することで、幾らか覚えやすくなるのではないかと思っております。

1.論証とは何か
私は論証と呼んでいるものには二種類あると思っています。
まずは論証集に載っているもの(広義の論証)。そして、実質的にみて、論証であるもの。

まず広義の論証についてですが、論証が載せられているもの(例えば柴田先生の論基礎など)の中には、単なる知識の論述例のようなものもあります。特に民訴や会社法にこのようなタイプのものが多いと思います。
これらはとりあえず今回は除きます。というか、こういうものはただの説明なので、教科書の記述だと思って何度も読んで、理解して、覚えるものとしかいいようがないです。

次に、今回扱う論証についてです。
法律の答案というのは、事例問題であれば、条文を基礎に問題を解決していきます。
そこで、条文の文言について内容が不明確であったり、結論の妥当性に疑問がある場合などに論証をする必要性が出てくることになります。
つまり、論証は必ず条文の文言と何らかの関わりを持つことになります。
お手持ちの論証集の中でそのような記述がなくとも、条文のどこかの文言を解釈しています。もしくは、条文が存在しないから論証をしているのです。(条文がない、というのも条文にかかわることになります)

論証が終わると、所謂あてはめというものをします。それが終わったら結論を出します。
これで終わりです。
つまり、答案というのは問題提起→論証→あてはめ→結論というステップになるのです。
ですから、論証集に載っていたとしても、あてはめの部分に関する論証であれば、それは論証ではないということになります(論証という単語を二通りの意味で使っているので若干わかりにくいですが)。


話がやや前後しますが、論証というのは条文に関連する以上は、条文を使うに際して何か不都合があるときに使うわけです。当たり前ですが、条文通りの処理で何も問題ない場合は論証は必要がなくなります。
ということは、論証を書く以上は必ず何か目的があることになります。
例えば文言が不明確なのであれば、文言の内容をより具体的にすること。要件が漠然としているのであれば、要件を定立すること。ある結論を出すことが目的で、しかもその結論を先だししているのであれば、法律構成自体が目的となることもあるでしょう。

というわけで、論証というのは問題を一人で立てて一人で答える作業に他なりません。

私達はここを覚えたいわけです。

2.実践的に覚える

そうすると覚えないと話にならないのは、問題と答えです。論証のパーツでいうと、条文のどの文言が問題となっていて、そこからどういう規範や結論が導かれるかというところです。
94Ⅱでいえば、まず覚えるべき部分は「第三者とはどこまでをさすのか」という問題提起(問題)と「当事者及びその包括承継人以外の~~第三者」という規範部分(答え)です。

最悪ここだけ覚えおけば「第三者とは、当事者及びその包括承継人以外の~第三者のことである」と決めつけてしまって話を先にすすめることができます。
逆にいえば、他の重要なキーワードをいくら覚えていたとしても、結論が書けなくては話が進みません。
話が進まないということは、そこでペンが止まるわけで、論文答案としてはどうしようもないわけです。
ここはキーワードも何も、フレーズごと丸暗記するしかありません(似たようなものが書ければいいと思いますが)。


次に、覚えるべきは理由付けの部分です。理由がまるでないよりは少しでもあったほうがマシというものです。
ここは論証をじっくり読んで理解した上で、どんなに長い理由もまずは一行で書けるようにしてしまうといいと思います。
理由は主に必要性と許容性の2つからなるものが多いのですが、そこを逆手に強引に抽象化して単語単位の理由にしてしまうといいです。
例えば、債務者保護、取引の安全、法律関係の簡明、法益保護、手続保障などなどです。こういった大原則を頭に叩き込んでおいて、この理由付けの強いて大原則の中でいうとどれだろうと考えて、それをまず覚えてしまうわけです。
そうすると、困った時(思い出せない時)はそのままそれを書けばいいし、何よりも論証の理解の助けになります。

先ほど理由は2つあるものが多いと書きましたが、まともな論証であれば理由付けは抽象化した時に同じものにはならないはずです。
ですから、「***と***の観点から規範(答え)と考える~」という風に書くことになります。
それらが相対立するものであれば(例えば取引の安全と真の権利者保護など)、***と***の調和とか適当に書いておけばよいでしょう。あくまでも覚えやすくすることが主眼ですから、自分なりに適当な単語を使えばいいのです。

なお、意味のわからない(抽象化できない)理由付けは基本的に反対説への批判などが多いので、本質的な部分ではありません。ひとまずは飛ばしてしまいましょう。

これで、問題と答えと簡略化された理由が覚えられました。この段階である程度は実践的な論証になったといえます。

次に、みっちりとした論証を覚えるステップにうつります。
ここまでの段階で論証の構造はわかっているはずですから、あとはキーワードらしいものを拾って、それらから同じような文を作る練習をするのみです。
構造もわかって、簡略化された理由も覚えているのですからこの作業は割と簡単だと思います。
この段階では一語一句覚える必要はないので、同じようなものが書ければその論証は覚えたといってよいのだと思います。

3.保存

では、せっかく覚えて理解した論証を頭に刻み込むためにどこを覚えておけばよいのでしょうか。
それは、問題と答えと簡略化された理由と、その他キーワードです。その他キーワードは覚えておいて、それをもとに本番では論証を作るわけです。
つまり、規範以外はすべて単語で覚えることになります。
ですから、論証のタイトルを言われてて、問題となる条文の文言、規範、簡略された理由付け、キーワードが単語としてぱぱっと出てくればもう完璧なわけです。

4.応用
以上の覚え方を少し応用しますと、ひとまずは問題と規範だけ覚えればなんとかなるわけですから、それらを覚えることを目標とします。
残りのステップは覚えないにしろ、必ずやって論証の構造を理解しておきます。
この作業だとサクサク進みますから、何周かまわすことができます。まわすたびに理由付けを覚えたりして内容を膨らませておけばいいのだと思います。
そうすれば試験が突然やってきたとしても(!)、問題と規範は覚えているわけですから白紙ではなくなります。

さらに、このやり方では最終的に規範以外は単語で覚えるわけですから、巷に出回っている胡散臭い記憶術だとか、中学から慣れ親しんだ(?)英単語の暗記のように覚えられるわけです。
柴田先生が論証の一問一答の問題集を書いているのですが、それを見たときに論証を一問一答にして覚えられるかアホっ!とか思ったのですが、これなら一問一答でも大丈夫ですよね!

しかも理由付けを一旦は抽象化しているわけですから応用がききます。
例えば抽象化された理由付けが債務者保護なのであれば、形式的には規範に該当しても、実質的に債務者保護にならないのであれば、その論証は妥当しませんよね。というわけで、(論証部分については)いくらひねられても大丈夫ということになる(気持ち程度だとは思いますが)。
いろいろひとつの論証から少し違ってケースを想定して仮想あてはめみたいのもやってみるのもいいかもしれません。

以上ですが、わからないことがあれば何でも聞いてください。とはいっても所詮は覚え方のひとつなので、適当な部分もたくさんあっていいんだと思います。要は理解して覚えればいいんです。

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コメント

昔の記事なので見られないかもしれませんが、見ていただけることを期待します(笑)

私も柴田クラスを受講しており、すでに基礎編は見終わりました。それから、論基礎を読んで復習しながら毎週答練を受けているのですが、柴田先生のテキストの使い方について少し質問があります。

まず、柴田テキストの論点の部分(点線で四角く囲まれている部分)ってのはどう使うんでしょうか?あれは講義を理解するものとしてしか利用できないんでしょうか。

というのも、論基礎の論証で規範とされている文言とテキストの文言が違ったり、理由づけが違ったりで、テキストに書かれている情報を組み合わせてもちゃんとして論証にはならないような気がするんです。それで、いちいち足りないキーワードをテキストの余白に細かく書いてるんですが、そんなことするなら論基礎だけ勉強すりゃいいじゃないかって思うんです。でも講義のメモも書いてあるし・・・

論点以外のところも憲民刑なんかは択一対策なら択一六法があれば十分だし、テキストは持ち歩く必要があるのかなって疑問がしょっちゅう浮かびます。

長々と書きましたが、柴田テキストは勉強中使いましたか?使い方をおしえて下さい。

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